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瞳哉
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レビュー一覧
2014/03/14 21:39
ネタバレ
DOUBT(ダウト)
7歳の少女の死因を巡り、とある家庭内で勃発した闘争。
他殺か事故死か?
登場人物各々が淡々とそれぞれの立場で心情を吐露し、状況を告白して行く様が描かれている。
その結果被告として訴えられ無罪判決を受けた【父親】は、死亡した少女の母である【不詳の娘】によって重傷を負う。
最後に登場する【父親の母】=【娘の祖母】の語りのみに幾許かの体温を感じ、読み手は凍結した心を解凍出来るようだ。
daubt ダウト 疑う
家族間でダウトに興じ、猜疑心から破綻して行く様に僅かでも共感し得たアナタ。
そして、ワタシもまた。
知らず知らず日常で DAUBT に興じて居る当事者なのではないか?
なんとも恐ろしい現実を突き付けてくれたものだ……
2013/02/26 23:32
ネタバレ
何れ気化する常温水
『希伊菜』は性嗜好が曖昧で、異性の恋人『夏目くん』が居ながら、同性の同僚『舘野さん』に惹かれて行く事を抑えられない。
心情を吐露し、夏目くんに別れ話を切り出すも、彼の応対は希伊菜の予想を斜め上に躱すものだった。
彼が提示したのは『現状維持』希伊菜の片恋の結末次第でどうにでも出来るというものだった。
此処に、想いの在り様が如何に千差万別であるかが提唱されている。
燃え盛り塵と消える恋も。
密やかに淡くくゆる恋情も。
どういった形も無しではない。
希伊菜と夏目くんの恋の先行きは、敢えて描かれぬ幕引きであるけれど。
この恋は、そしてその様は、まるで『何れ気化して無くなる杯の中の常温水』の様に感じた。
切ないとも暖かいとも異なる。
不思議な想いの交錯を、垣間見るのも一興か……
2011/06/09 22:06
ネタバレ
恋から愛へのグラデーション
長く永い。
それこそ気が遠く成りそうな程の長きに渡り、熟成された想いがそこにはある。
これは矢楚と広香。
二人の主人公の辿った、余りに真摯でひたむきな。出会いから十年にも及ぶ恋物語。
サッカー選手として、早くから周囲の期待を背負い、一心に邁進して行く矢楚と、複雑な家庭環境の下、不遇な少女時代を送る広香。
しかし矢楚の家庭にも何時しか暗い陰が忍び寄る。
周囲に翻弄され、惹かれ合いながら離れざるを得ない二人の切ない心理描写は秀逸である。
また多くの人物が登場するも、個々の想いが繊細に描かれ、物語全体に蜘蛛の糸にも似た細く多彩な伏線が張り巡らされて行く。
その絡みあった糸が解き解され、【恋】が【愛】へと昇華するに充分な程、長く永い時がこの物語全編に、淀み無く流れている。
心から感動し、美しいものに触れたいと願う時、是非読んで貰いたい珠玉のラブストーリー。