香純さんのレビュー一覧
私にもいます、私にとっての「ハンズ」である存在。 私が笑えるのは、幸せを感じることができるのは、その人たちのおかげです。 どこまでも優しく、惜しみなく愛情を与えてくれる大切なひと。 その暖かさに、この小説の暖かさはとっても似てます。 ノスタルジックで、甘酸っぱくて、本当に爽やかで、懐かしい。 どこかに置き忘れていた感情がぎっしり詰まってます。 作者様の優しい優しい手であったかく包まれたような、 そんな心地よさ。
たまに、訳のわかんない気持ちになることがある。 何かに突き当たったわけでもないのに、虚無感に襲われたり、漠然と寂しくなったり、泣き出したいほど悲しくなったり。 この小説が、その答えをくれたような気がした。 儚く、脆く、ひとりじゃぐらついて立っていられないような… そんな人間の弱さと。 大切なひとを想うときの、強く、優しい… そんな人間の強さとが。 ぎっしり詰まった、小説です。 泣いたり笑ったり、忙しい小説です。 私の感情が、忙しく動いてしまいました。 あっち行ったりこっち行ったり。 純粋に、大好きです。
もし彼が目の前にいたら。 男も女も、みーんな、惚れちゃうでしょう。 その彼とは、NO.1ホスト・神。 誰よりも強く優しく、かっこよく、芯から溢れ出す魅力で骨の髄までやられてしまう。 だけど、神は完璧な王子様じゃない。 無茶もすれば、ひとりで突っ走っちゃうこともあるし、周りが見えなくなることも。 大切なものゆえ、信念ゆえ。 完璧じゃないところが、また素敵だ。 顔もよければ腕っぷしも強い。かつて彼に愛された陽子がうらやましくなるくらい。 完璧じゃない王子様。 最高じゃないか。 ぜひぜひ、ご一読を。 男性にも女性にも、ぜひオススメしたい一作です。
読まないと後悔する、と自信を持って断言します。 大切な人を想う気持ちの深さ、美しさ、戸惑い、不安、喜び、葛藤。作品に綺麗に織り込まれて、それらは読者の心を熱くし、揺さぶります。 積み重なっていく「告白」を繋ぎ合わせて辿り着く真実。 脳が覚醒するようなあの感覚をぜひ味わってほしい。 「たぶんキミと僕の関係は 宇宙における月と地球のようなもの 具体的には言えないけれど さりげなく近く あからさまに遠い」 深い深い想いが込められたこの歌の歌詞。 その想いに直接触れることができた瞬間、大切な人を想う気持ちはこんなにも大きく美しいんだ…と、胸が締め付けられると同時にこれ以上ないほど暖まるでしょう。 知りたくないですか、あなたも? 秘められた想いたちを。深い想いたちを。 ページ数に尻込みするにはもったいなさすぎるくらい、素敵な作品です。
桜の花びら舞うあの季節 消えてしまった 愛しい人よ あなたを想い 涙を流し あなたを想い 途方に暮れる 逢いたくて逢いたくて でも 逢えなくて…… 流した涙の分まで 君に届けこの想い 想いは色褪せることなく 色濃く色濃く 新たな想いを紡ぎ出す 逢いたくても逢えない誰かを、あるいは大切なかけがえのない存在をもつ方に、ぜひとも読んでいただきたい暖かいストーリーです。
あまりの繊細さと儚さに。 それゆえ生まれる美しさに。 思わず身震いしてしまう。 日本の夏とは、こんなに美しいものなの? 誰かを一途に想うときの、痛々しいほどまでに繊細な心。 それは、こんなにも、限りなく透明に近く映し出されるものなの? なんて、なんて美しいんだろう。 日本の、夏。 夏の、情景。 パンダオサコさんの作品に触れるたび、私はいつも思う。 この作家様が美しく綴る日本語たち。それらを理解できる、日本人でよかったなぁと。 強く強く、思う。 それほどまでに美しく、美しさゆえに泣きたくなる。 オサコさんの作品に触れるたび、日本語はこんなにも繊細で美しいのかと、再確認せずにはいられないのだ。
楽しいから。 楽しいから。その気持ちが自分を動かしていた。 ……最初は。 だけどいつしか、何かがどこかで少し、少しだけ変わっていってしまって。 こうしなきゃ、ああしなきゃ、そんな風に思うようになってしまって。 "must"に動かされているときには、楽しむ余裕さえないんだ。 自分が気づいていなくとも。 素晴らしいものは生み出せないんだ。 自分が楽しめていないんだから。 忘れちゃだめだ、 何よりも大切なキモチ。 物書きさんにはもちろん読んでいただきたいですが、そうでない方にもぜひお勧めしたいです。 小説だけじゃない、すべてのことに当てはまることだから。
敷島の大和心を人問わば 朝日ににほふ山桜花 本居宣長が詠んだ歌に、こんな歌があります。 "大和心とは何かと人が問うなら、朝日に咲き誇る山桜の花だと答えよう" の意です。 古代日本が舞台。 特別な力を持つ少年、少女たち。 彼らの理想の国とは、「まほろば」。 理想に向かう彼らのまっすぐな想いは、確かに鮮やかに咲き誇る山桜のようです。 その真剣な想いは、大人や、国をも変える。 そして、互いに大切に想い合う姿は、美しくもどこか儚い、日を浴びてきらりと輝く薄桃色の花びらのよう。 人の想いは、古代も現代も何ら変わりないのかもしれません。 朝日に咲き誇る山桜の花ような、大和心が散りばめられた古代の世界へ。 あなたも迷い込んでみませんか?
「好きだ」とか「愛してる」とか。 そんな陳腐な言葉はいらない。 伝えたい想いがある。 さぁ、どうやって君に伝えようか? ……鍵盤を叩こう。 僕のピアノは君だけのもの。 ピアノから零れ落ちるメロディのひとつひとつが、確かに愛の言葉なのです。 それは、どんな愛の言葉よりもまっすぐに彼女の心へと届くのでしょう。 優しく繊細に紡がれるそのメロディには、激しく狂おしい想いが隠されているのです。 透き通って光り輝く、優しく淡いその世界観。 彼と彼女、二人だけのコンサートを、少し覗いてみませんか? きっと今日も彼は尋ねてくれるでしょう。 「リクエストは、決まった?」
他人になりたいと強く願ったとき。 悲劇は、起こる。 誰よりも近く、分かり合えるように思える双子。 だからこそ、どちらがどちらだか分からなくなる感じがとても面白い。 氷を入れたグラスの表面がだんだんと冷やされ、ついには水滴がつき、つつ……と水が垂れるように。 ページを捲るごとにぞくぞくとし、首筋を冷水がなぞる感覚が増していく。 それはきっと、"おまじない"の真相にだんだんと近づいていくから。 たった16Pでとても綺麗に纏められていて、1本の映画を見たような読後感です。 ちょっぴり怖いお話が好きな方にはぜひおすすめの作品。 あなたも、おまじないをかけてみる? ただし、誰になりたいかは慎重に慎重に考えた方がいいですよ。
セピア色に染まる数々の忘れられない恋の想い出。 男性の目線から紡がれる繊細な物語。 詩のように織りなされる、美しく切ない世界観。 綺麗に散りばめられた言葉たちが、キラキラと輝く。 脆くて、ひとりじゃ怖くて、理解してほしくて… 本当は男性の方がそうなのかもしれません。 女性の前では男らしく魅せたいと思うのでしょう。 そんな彼らが見せる、柔らかい心。 新鮮な発見です。 誰しもが持つ、過去のものや失われたものを懐かしく思う気持ち。 ノスタルジア。 この美しく切ない世界に、あなたも身を委ねてみませんか?
白い。 眩しいくらい、真っ白。 繊細に紡がれた言葉たち。 絡み合っては、溶けていく。 熟考されて開けられた行間がとても心地いいです。 読者をどっぷりと物語に引き込む、行間。 瞼の裏に一面の雪を想い描けるだけの、行間。 思いやりの、行間。 物語の一部をなす、行間。 静寂を表す、行間。 この物語を読み終えた後。 あなたの心には何が映りますか。 私の心には、暖かい雪がしんしんと積もりました。 冷たい雪じゃない、暖かい雪が。 その意味は、あなたが自分で確かめてみてください。
手は身体の一部です。 ですが。 本当にそうでしょうか? この作品を読むと、それを疑いたくなる。 しなやかに、まるで身体とは別個のもののように、それ自体が独立のもののように動く。 手が生きています。 読後はきっと、不思議な気持ちに包まれます。 気づいていなかった何かに気づかされたような、それでいて分からないような。 その感じが心地良い。
大切なものの真の大切さ…。 例えば、家族だったり友達だったり、恋人だったり。いつもそばにいて「当たり前」だと感じるような近い存在。もちろん、大切すぎるくらい大切ですよね。でも、当たり前のことなんて何ひとつ、ないんです。失って初めてその価値に気づく?いえいえ、気づいてください。 きっと、この作品が教えてくれます。 大切なものの、真の大切さを。 サバンナの大自然の中、黄金色に輝く猛々しいライオンの姿。 大自然の中、生き生きと生きる彼らに、人間だけが感じる繊細な気持ちがちらちらと見え隠れするのです。 失ってから気づくのでは遅すぎる。あなたも、気づいてみませんか?大切なものの価値に。
バカップルの、バカップルによる、バカップルのためのお話。 作者様がそう紹介なさっているのですが、まさにその通りです。 話にぐいぐい引き込まれて、感情移入してしまいます。 読みながら思わずにんまりしてしまう、可愛らしいお話でもあります。 最高の一言です!読まなきゃ損します。 こんな素敵な作品と出会わせてくださった今井孝様に大感謝。憧れの作者様です。