かわせつきひとさんのレビュー一覧
渇ききった私の心を潤せるのはお酒だけ。本当はいつも人恋しくて、細やかでもいい、優しい言葉をかけて欲しいだけなのに、でも脆くて臆病な自分をひた隠す癖で、どうしても素直になれない、そんな、やさぐれこじらせ女子。 こんな強情な女を口説けるヤツは、いつだって若くて怖いもの知らずの血気盛んな若者なのだ。君の熱い情熱で、硬く閉じられた彼女の心の扉をこじ開けろ。 いや~格好良かった。こういう世界観を久し振りに堪能しました。
失恋の痛手がまだ拭えぬまま、自身の足りなかった部分と例えようも無い喪失感を憂う日々。でも一方では、大好きなスイーツを糧にこれから進む道を明るく模索する。そんなヒロインと、 未熟な技量が(と思い込んでる)自身のメンタルや生き方にまで悪影響を及ぼしてしてしまう、優秀なのに、でも今一つ自信が持てないパティシエヒーロー……とでも紹介すれば宜しいでしょうか? 個人的にお薦めする見所で、作中に幾度も登場する様々なスイーツの、“味覚″“視覚″を通して、二人の想いが少しづつ交差して伝わってくる様子がとても新しいと思いました。 読み終えて、甘くとろけるように伝わる素敵なエンディングと共に、まるでスイーツバイキングに足を運んだ後のような満足感が味わえる、とてもお得な作品でした♪(’-’*)
エイプリルフール。確かに嘘を言ってもいい日ではあるけれど、でもその嘘加減がとても難しい。 作中で飛び出す嘘は、言っちゃいけない境界線を確実に越えてる嘘。読みながらヒーロー、ヒロイン共に当事者の立場に立って考えてみたけど、とても心臓に悪かったです。 結婚指輪まで嘘じゃなくて良かった。
この作品を数ページ捲ると、きっと誰しもが、そこで目にした舞台設定に驚く筈。 だって、この環境から始まって素敵な恋愛に発展するってどうしたって考えにくい。知ってます?世はオフィスラブ全盛の時代ですよ? でもご心配無く。これが明紫マジックなのです。読み進めると、きっと誰しもがすぐ気が付く筈。タイトルの『弾む』の名の通り、恋をする喜びから一転、不安、苛立ち、安堵から悲しみ、そしてまた怒涛のように押し寄せる歓喜。……とまあ、こんな具合に次々と喜怒哀楽が文章に溢れています。 この作品を読み終えた後はきっと、どんなオフィスラブを読んだ後よりも、それ以上の豊かな読後感が感じられる筈。 個人的にイチ押しなのは、作中に登場するヒーローの口説き文句。我ながらびっくりするほどテンション上がりました。誰か共感して欲しい。
まるで輪廻を連想させるような不思議な世界観。眠れぬ森で夜毎ひっそりと繰り返されるその儀式は、一見悲しいようでもあり、しかし極楽浄土へ向かってるようでもある。 読み終えると、恐山の石積見学した後の気分に浸れます。こんなお話もたまには良いですね~
読み進める度に心弾むような気持ちになれる素敵なラブコメディでしたが、でも、そんな素敵なお話の中に、とても大切なテーマが隠されていると思いました。 日常で『自分の気持ちを自分が一番分からない。そして、身近でいつも自分を見てくれていた親友達が、的確に自分の気持ちを言い当ててくれた』こんなお話をよく耳にしますが、作中のヒロインの境遇もまさにそれで、 自身の揺れる気持ちに悩み、親友達に心を打ち明けながら、いったいどんな答えを導き出すのだろう?……と、ここに興味一点待ちわびていましたが、場面を迎えて、なるほど!と思わず共感しました。 一見簡単に見えて、しかしそれを見つける事は何よりも困難な事。 筆者様の手腕に脱帽です。傑作だと思います。素敵な作品をありがとうございました!
人が人を好きになる。でも、それは意中の相手が振り向いてこそ初めて喜びに変わるのであって、そこに至るまでの過程はまさに、喜びで1歩進み、不安と落胆で3歩後退の繰り返し。 でも、だからこそ心が通い合えた時の喜びはひとしおです。 作品を開いてから数頁、そしてラストに至るまでの間、恋に悩むヒーローとヒロインが、お互い全力で気持ちをぶつけ合う様子を見ていたような気がしました。まさに読後感爽快な作品です。
話の冒頭から織り成す、まるでモノトーン越しの情景を見ているような不思議な世界観に引き込まれました。 人に何かを伝えたがる作家ほど心の内に何かを抱えてるのかも知れません。作中の彼のように。 切ないような、悲しいような、ただ見ているだけで抱き締めたくなるような、世の中にはきっとこんな恋だってあると思うのです。 散りゆく銀杏並木を見て人恋しくなった時に拝読すれば、きっとどこか共感する場面もある筈。まさに聖夜にぴったりの作品でした( ´∀`)
さすがに女性作家さまの作品……とも言うべきか、キッチン一つでこれだけのものが見えてくるんだなぁ……と感服致しました。 ですよね、キッチンとは料理のみならず幸せを創造するものなのですよね。 天晴れな作品でした☆
『あの人はとても優しい人だ』と言う会話をよく耳にしますが、でも、生まれつき優しい人と、一方、胸を焦がすような哀しみを克服してきた人とは、優しさの深みがまるで違う。 傷心の渦中にあるヒロインにも勿論自身を投影して読んでいましたが、でもそれ以上に、彼女が置かれていた素敵な環境にとても感激していました。 心地の良い海風がそよぐ白い浜辺、そして青い海。自身の対極にいる天然ヒーロー、そして何と言っても作中に登場するあの方。きっと、心のリハビリにはうってつけの場所。 たった3ヶ月の体験。でも彼女にとっては、これからの人生を歩むための大切な糧になる筈。なんて優しいお話。そして終わり方もベタベタせずニクい感じで良かった。 読んで良かった。
乙女の細かい変化に気付いてくれる彼氏はもちろん嬉しいけれど、でも気付き過ぎるのもまた困りもの。そんな教訓を綴る四ページでした。良かった。俺は気付かない男で。
一度完読し、話の流れを理解してからまた読み直すと、彼の優しさも気配りも、なんだか現代ゆえの物悲しさがじわっと伝わってきます。なんでこんなに心に響くのだろう……あ、あと必ず試して欲しいのが、最後に表紙を読んで下さい。いいですか?必ず最後です。ホロッときます。
月並みな話ですが、例えば坂本龍馬は英雄なんかじゃなくて本当はただのスパイだったとか、また例えば、伊藤博文は色恋事が多すぎて、奥さんの死ぬ間際の遺言に『あの人と一緒の墓には入れないで』って言われた事とか、歴史は斜めから紐解くと、ちょっと変わった楽しみ方が出来る。童謡だってきっと同じ。こんな真実があってもきっと面白い。 最後の鏡さんの台詞がとても印象的でした♪(*´∀`)
作中では、とある学校の中でのごく小さな世界で表現してますが、でも、これは僕たちの日常に溢れている解決がとても難しい問題。 人はとかく弱いものらしく、例えば人種が、社会的地位が、学歴が、勤務している会社が、住んでいる場所が、その佇まいが、身に付けている装飾品が、保有している車が……等々、少しでも他人との優越にすがっていないと、自身の存在を確認出来ないものらしい。 そんな閉塞的な世界で、自分の本音をさらけ出す勇気。泣きながらでも良い、怯えてたって震えてたって、逆に怒りのまま叫んだって良い。 志は各々違えども、心に秘めた何かを伝えたい者達が集う、小さな小さなクーデター。 これで何かが劇的に変わる訳では無い。ただ、そうする為に強くなる第一歩、明日をもっと良い日にする為の第一歩を歩む清々しさ、そんな事を作品を拝読しながら感じました。 いいよさん天晴れ。
このお話には、辛い過去恋を経験して、殻に閉じ籠った女性を口説き落とす方法がきっちり綴ってあります。 何物も恐れず、若さと情熱で押しまくるヒーローの勇姿を見て、なんて気持ち良いんだろう……と共感していたのも束の間、話のラストスパートで、二人の様子見ながら思わず『お前ら迷惑だからラブホテル行けー!』と文句言いそうになりました☆ 事のつまり、嬉し恥ずかしの喜びを堪能しつつ、最後はスカッと爽やかな気分に浸りたい方には是非お薦めの作品だと思いました。 あ~楽しかった♪