紅 憐さんのレビュー一覧

2008/05/20 09:19
目を開ければ
黒猫がいました。 黒猫はこちらを見ると、目をぱちくりさせました。 お仕事は一段落した? 訊いてみると、黒猫は少しさみしげに、たくさん満足そうに空を見上げました。 「ええ、一段落ね」 視線を辿ると、マリンブルーの空が眩しいばかりでした。 彼、願いは叶ったよね? 「もちろん。あたしは案内役なの。それに聞こえない?」 ぽすぽす、ぽすん 「ほらあの音。想いが伝わった証拠ね」 そっか 「あんた、人間でしょ?ペットはいるの?」 うん。猫をね 「大切にしてあげなよ。そしたらきっと、この青空を見せてあげられるから」 うん。アナタ、黒猫の天使だもんね 「ばぁかなだれかが勝手に言っただけだよ」 黒猫はもう一度、マリンブルーの空を見上げました。 ぽすぽす、ぽすん。 そんな音を、聞いたような気がしました。