凪吉奏音さんのレビュー一覧

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2010/09/17 21:01
現代人が忘れていること

流行を中心に回る世界で、私達は沢山のことを見逃しています。それを思い出させてくれるのは、とあるコーヒーショップに住んでいる一脚の椅子。彼の目線で、この物語は進んでいきます。 人と人との繋がりや、物(者)を大切にする気持ち、自然への恩恵など、今を生きる人達とは縁遠くなりつつあることが、このお話の中には詰まっています。自分を見直し、周りに目を向けるには、とても良い作品です。しかも、心が洗われます。 未来の子供達にも、是非読んで欲しい一作です。

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2010/09/14 22:04
夏は終わらない

弾けるサイダーの泡のように、突然始まって淡く過ぎていく恋。あからさまなハッピーエンドや後味が微妙なバッドエンドが苦手な私には、『戦国サイダー』のラストはとても好みで、しっくりきました。 最後の二つの章は、合縁奇縁”を信じている身として、とても嬉しかったです。そして、“見えない壁を越えるのは難しい”という事実に反せず、納得できる無理のないエンディングでした。 ――“ひと夏の恋”なんかじゃない。二人の思いは、この先も続いていくのです。

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2010/09/04 19:20
気分爽快!

澄ちゃんと新庄の言葉遣いは酷いものの、終始言いたいことをはっきりと言う二人には、スカッとさせられます。 ここまで鬼畜な人間が居たか……という非道ぶりは、いいよさん流ドSでしょう。また、ここまでパワフルな女の子を見たのも初めてで、とても楽しませてもらいました。 鬼畜に溶かされたい方、気分を晴れやかにしたい方、是非いらっしゃい!

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2010/09/02 12:20
行間を、読め。

作者のK,氷さんが一つ一つのお話を簡潔に分かりやすくまとめてくれているから、その必要はないのですが……あえて、もっと深く浸ってみて下さい。短いからとサクサク読まず、ゆっくり読んだ方が、この作品は楽しめると思います。 花言葉と各物語のシンクロ、お見事でした。他の作品にも期待しています。素敵な作品をありがとうございました!

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2010/08/13 13:06
人生は、先の見えない長旅なのです。

すぐに切れてしまう繋がりもあるけど、何年も何十年も消えない絆があるのもまた事実。この作品には「愛情」や「友情」、「家族愛」といった沢山の絆があったことを、完読した方なら思い出すでしょう。 個人的な話になりますが、私は高校時代に茶道部へ所属していたにも関わらず、「一期一会」という言葉があまり好きではありません。“一度出会った人と長く付き合っていきたい”という気持ちが、根底にあるからです。それが大好きな人なら、尚更。 なので、私はこのお話を「恋愛」という狭い枠でくくってしまうのは勿体ないと感じました。もっと壮大なスケールで私達に訴えかけていると、そう思うのです。上手くまとまりませんが、最後に那智君のお母さんに“ありがとう”を伝えて、レビューとさせて頂きます。 十和さん、素敵なお話をありがとうございました!

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2010/08/02 16:41
物語のような詩集

一つ一つの詩にストーリーが隠されているようで、言葉達がすんなりと頭に入ってきてくれます。分かりにくい表現や言い回しは、一切ありません。 個人的な見解ですが、「ふりがな」に込められた思いは特に大切なんだろうなと感じました。“ErinAさんってどんな人生を歩んできたんだろう?”と思わせてくれる作品です。是非一読を!

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2010/05/19 00:29
だけど、“未来”は変えられるから。

“過去を変えよう”だなんて、タイムトリップできる車が出てくる某映画のような世界でなければ到底できない話。人生は常にこれから先の良し悪しも分からない選択ばかりで嫌になることもあるけれど、それが“生きる”ということである。 いつも最良の選択をすることが、本当に正しいのだろうか。大切なのは“その時の選択を自分がどのように活かせるか”で、「あの時ああすれば」などと嘆くことではない。“これからどうするか”が、その選択の価値を決めるのだ。 過去は変えられないが、未来は変えられる。それに気付いた時、きっとあなたは「成長」した自分になれる筈。

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2010/03/08 21:33
自分の信念を再確認

大賞を取りたいから・多くの人に読んで欲しいから・暇潰しをしたいから……野いちごで活動している作家達には、十人十色の「理由」があるだろう。 私の場合、“感動させたいから、書く”。“感動したいから、読む”。この二つが大きな軸になっていると、この作品に改めて気付かされた。 ――他人を妬んだりけなしたりするよりも、“どうすればもっと自分が輝くのか”を考える方が、ずっと良い。

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2009/12/16 19:30
同じ瞬間(とき)は二度と来ない

“だから、大切なその一瞬を文字に焼き付けました。”そんな印象を抱いた。 タイトルには、少なくとも二つの意味があると思われる。“刹那”の思いを、時に楽しく、時に“切な”く。これは、若者にしか書けない詩かもしれない。 若い人は「今」を、年を重ねてきた人は「あの頃」を思い出せるような、そんな作品。

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2009/11/26 21:38
例えば、あなたを諭すように。

一つ一つの詩に、「あぁ」と納得させられます。個人的には、詩というより短いお話や論語を読んでいるような気分になりました。人生経験豊富なダイさんの言葉だからこそ、共感するものが多かったのかもしれません。 疲れているあなた、頑張りすぎているあなた。是非『空』を読んでみて下さい。ありきたりな恋愛小説に飽きている方々にも、自信を持ってお勧めできる詩集です。

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2009/09/01 16:33
越えられない「距離」に勝つために

笑顔が素敵で可愛らしい寿美子先生に、恋をした井手君。複雑な数式を前にしても動じないであろう彼なのに、いざ先生を前にすると逃げ出したい衝動に駆られてしまう。どんな優等生にも攻略が難しいものが存在するのだとしたら、それは恋愛なのかもしれない。 オチでは意見が分かれることが予想されるが、個人的には高校生らしく微笑ましいと感じ、好感が持てた。このオチは、井手君が勇気を踏み出すための一歩になるのではないだろうか。私は彼に、心からのエールを送りたい。 Fight for breaking your timid mind!

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2009/08/11 10:24
まるでスローなラブソング

愛おしかったり、ちょっぴり切なかったり。そんな言葉がリズムに乗って並べられていて、テンポ良く読めます。それでいて、ゆっくりと時間が流れるように思わせる不思議な文章です。 丁寧な言葉で語られるこの思いが、いつか届いて欲しい。最後まで読むと、応援せずにはいられなくなります。 「キミ」に恋する「僕」の思いを、どうか感じ取って下さい。

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2009/07/19 12:16
ひとりじゃないよ。

異性の声を食べることでしか生きられない少女・沙妃は、大好きな父親の声を食べ尽くしてしまった罪悪感から、満足な“食事”が出来ない日々を送っている。恋もせずにただなんとなく過ごす沙妃の毎日は、ある日親友に連れられていったライブによって変化する。 今までに聞いたことのない極上の声、圭吾の声に沙妃は満たされるが、父親の時のような悲劇を二度と繰り返したくないという思いから、圭吾の側を離れることを決意する。特異な体質の彼女の悩みを他人が理解することは難しく、それがとてももどかしい。 会えなくなると、声が聞きたくなる。それはきっと沙妃だけではなく、誰もが思うこと。少女は今も、大好きな人達と一緒に笑い、極上の声を味わっているのだろう。

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2009/07/05 21:21
ひと夏の思い出

一人のクラスメイト・奈緒の死から始まった、ナオのちょっぴり不思議な夏休み。謎の少年・修介と出会い、奈緒のケータイから修介へ送られてくるメッセージの秘密を解き明かしていく。 生前の奈緒と関わりがあった西野や紗枝との交流も、ナオにとっては重要なことだったのだろう。修介の思いもまた、ナオや私達に強く訴えかけてくる。 ラストシーンは、吹き抜ける風を感じさせるよう。15歳の少年少女達は、様々な思いを抱えて大人になっていくのだろう。

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2009/06/30 19:59
幸せへの近道は、ないんだよ。

毎日喧嘩ばかりで、相手のやること成すこと全てに苛々してしまう、犬猿の仲である美咲と巽。お互いに惹かれ合っているのについつい余計な一言が飛び出してしまい、お別れの言葉はいつも「大嫌い」。そんな二人がとてももどかしいです。 長い道のりを、立ち止まったり、振り返ったり。遠回りした二人の幸せが同じ未来にあるかどうかは、あなたの目で確かめてみて下さい。 There is no royal road to your happiness. Believe yourself and take action!

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2009/06/13 23:44
永久欠番

このお話を読んで真っ先に思い浮かんだのが、中島みゆきさんの『永久欠番』という曲でした。確か、私が中学1年生の時に国語の授業で習った作品。詞の内容にとても共感し、今でも印象に残っているものです。 この『地球が回るスピードで』という作品は、短いながらも「人」、つまり“命の神秘”を懸命に訴えているような気がします。広い広い世界や宇宙に比べたら、人間なんて塵みたいなちっぽけな存在。だけど、風が吹けば飛んでしまうように儚い人も、大木のようにどっしり構えている人も、他の人がその代わりをすることは出来ない。この作品で、「俺」にとって忘れられない人が居るように。 1ページの中に大切なことが詰まった、温かい作品でした。共感出来る、素敵なお話を有難うございました。

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2009/05/12 16:39
振り向けば、青い春。

この物語は一人の少年の成長記であり、一人の少女の命懸けの恋を綴ったものでもあります。随所に散りばめられた青春的表現に、思わずニコリ。二つに分かれたエンディングは、個人的にハッピーエンディングの方が好みでした。 若い頃と成人して何年も経った後って、考えがかなり変わるものなのでしょうか?今現在成人したばかりの私には分かりませんが、フッと昔を思い出した時に懐かしい気分に浸れるような大人になりたいな……と思わせてくれる作品でした。 さて、私は何を信じて生きていこうかな?

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2009/04/21 19:41
君の愛が欲しい

特殊な体質の少女・深紅は、男の子を“ツール”程度にしか考えておらず、まるで使い捨てカイロのような扱い。このお話は、そんな彼女が友行に出会ってから、「愛」を知っていく様子を描いています。所々に散りばめられた素敵な風景描写は、夜空を彩る星のようです。 人付き合いを損得で決める方も居ますが、このお話を読めば、その考えが少し変わるかもしれません。beeさん、素敵なお話を有難うございました!最後に、タイトルに出来なかったスペイン語と和訳をbeeさんへ捧げ、レビューの締めくくりとさせて頂きます。 Me muero por un amor tuyo. (君の愛が欲しくて 堪らない。)

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2009/01/06 11:05
“自分のスタイル”とは?

この作品は著者の小説に対する考えが詰まっているので、いち物書きとして誇りとプライドを持っている方にとっては“執筆する上での一種のモチベーション”になるのではないかと思います。 「お、ここ共感出来る!」 「ん?これはちょっと自分とは違うぞ。」 「こういう方法があるんだ!へぇー……」 などなど、様々な意見を持つかと思いますが、全部ひっくるめて素敵だなと思いました。 “自分のスタイル”を、あなたは持っていますか?

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2008/09/15 15:04
“キミのココロに、ボクはずっと居るよ。”

物語全体を通して、そう言っているように聞こえました。 10年後の今日も、笑っていて欲しい。「ボク」の思いが「キミ」に届いたかどうかを、本編で確認してみて下さい。

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