フェザーフォルテさんのレビュー一覧
昭和のノスタルジックな世界で起きる不気味な出来事。百鬼夜行シリーズが好きな人におすすめです。 無惨な姿になった平和の象徴〇〇が次々と発見されます。主人公は取材を始めますが、そこで純潔の美少女と出会います。美少女はよく〇〇の居場所である神社にいて、主人公は既婚者ですが、彼女の魅力に惹かれていき…… 主人公はことあるごとに友人のちゅう秋の家に上がるのですが、容赦なく内心を言い当てられ心にぐさっときます。 そして美少女を狙うプレイボーイ、神社の神主、派手な見た目の女の人と共通点のなさそうな人々が集まりますが、それぞれの思惑が主人公に襲いかかり……それを救うのは友人のちゅう秋。 心の痛みを麻痺させるために痛みへ飛び込む、心の純潔を保つために手を汚す。 表裏と脆さは人の心に付き物です。あなたも自分の心につくものを覗いてみませんか?
生物部の彼の誘いに乗った主人公が、無残な姿に変わり果てていきます。 純粋な恋心を食い散らかすように体を切り刻む。残酷な光景ですが、驚かせるというよりは薄暗い怖さに包まれます。 彼女は、恋心は確かに存在していたのですが、あっけなく消されました。じわじわと襲いかかる残酷さと恋の儚さが心に残るホラーです。
時事意君は、忌々しい呼吸音を発する。 物証にできない呼吸音が主人公の心に絡みつき、傷つけていくのです。 始まりは時事意くんの彼女と体操服の貸し借りをしていたこと。時事意くんの目の悪さからくる勘違いが、余計な噂を生みました。 何も知らない人たちが流す勝手な噂に困らされる主人公。 そんな日常の中、シャワーの時に見てしまった現場によって、物語は衝撃のラストに向けて動き出す……。 独占欲がひしひしと伝わってくる、毒々しい短編です。
先生である主人公は突然の雨にいらだち、傘もささずに帰りました。そこで出会ったのが同じように濡れているイケメンの生徒。 ここでは先生として、濡れた彼を家に入れますが……。 大人の冷めた見方の描写が丁寧で、幸せな時間がずっと続くと考えないところが、禁断の恋だということを強く感じさせてくれます。 先生の冷めた見方の先には、幸せな展開を予想させられます。諦めずに甘い展開を掴んでほしいと思わせられる、恋の始まりです。
綺麗なドレス、結婚式場……大事な式に向け、こだわりながら準備を進める二人の甘々な日々です。 ドレスのためにダイエットすると言ったら、嫌な顔一つせず待ってくれた上、手足が長く見えるように僕も……という優しさに溢れた彼。 そんな彼の優しさは最後の言葉にも表れます。 文から幸せオーラが溢れていて微笑ましい……末永くお幸せに!
この時代の女子高生たちは、天下を目指していました。 戦国時代のような独自の文化の中ですが、スイーツが好きだったり、恋をしたり、今も変わらない気持ちが現れます。こんな共感が、別の時代を歩む読者を物語に近付けてくれます。 しかし戦いはバイクなどの現代のものに形を変えて起こります。激しい戦いで命を落とすことになっても、ただひたすら天下を望む姿は凛々しくて切ないです。 でも最後には天下だけではなく、女子高生として大切な望みに気付くかも……。 乱世で輝く絆や優しさに心動かされる長編です。
腕の良い傭兵は家族と過ごすことが一番の幸せだったのでしょう。 しかし妻を亡くし、怒りに身を任せて国を破壊します。それでもまだ守るべき存在はいました。 息子を育てるためにした決断には、傭兵なりの愛と寂しさを感じます。 守るべき存在すら失った時、傭兵は周りのことに気づきました。 軍神と恐れられるほど強くても、大切な存在がいないと意味がない。最後に傭兵の虚無感がどっと押し寄せてきました。
芸能人の遥翔と出会ったことにより、心の奥に秘めていた主人公の夢が動き出しました。 モデルになったということで事件も起こり、目が離せない展開に。大変な時に助けてくれる、遥翔の優しさがじわっと心に広がります。 順調に見えた二人ですが、幸せの絶頂と思ったところで苦しい病気が二人の未来を阻みます。上げて落とされ、心を揺さぶられます。 遥翔が荒む中、それでも変わらぬ愛を突き通す主人公に感動しました。 最後は淡々と、そして儚く消えていき、心を真っ白にしてくれました。
気になる情報が徐々に出されていく序盤に引き込まれて、最後まで読みました。 なかなか心を開けない光希步は突き放しても近付いてくる主人公に押され、沈むような暗い過去を話してくれます。 そんな過去から光がさす方へ引っ張り出してくるような主人公の明るさに救われました。 普通の人なら手を離してしまいそうなところ、一歩踏み込む明るさがいいなと思います。 そこからは一歩ずつ、それでも充分眩しい世界が開けてきました。 何事も知らなければ始まらない、知るためにその先へ踏み出したい、と前向きな行動力を呼ぶストーリーです。
金魚の数だけある、キラキラした思い出。それを素直に描いています。 どうやら金魚に縁があるらしく、夏祭りや川遊び、学校のプール等、水面がキラキラ光るような、綺麗で懐かしい思い出です。 子供のときの微笑ましい思い出からまた新しい縁がありそうなラストまで、夏にピッタリな雰囲気の作品です。