プロフィール
春名さき
【会員番号】789618
自由気ままに読書、執筆しています
【最新完結】
*きみが一番星
【その他】
*ホワイト&ライアー
┗野いちごオススメ作品掲載
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レビュー一覧
2017/12/14 20:55
ネタバレ
愛ある世界に
読み終えた今の心情を、的確に表現出来る言葉が見つかりません。歓喜、安堵、自責…。ごちゃ混ぜになった感情はどれも当てはまりそうだけど、少し違う。自信を持って言えるのは、この物語はどうしようもなく優しくて温かい、ということのみです。
私達の生きる世界は生きづらい。なのちゃんのように障がいのある人は、特に。ハンデとなるものが目に見える形でないと周りの理解も得にくくなり、辛い思いをすることが増えるのかもしれません。
この物語にも理不尽だなと思うことが出てきます。でも、それ以上に優しいのです。包み込むような優しさの朝陽くんと分かりづらい優しさで支えてくれる陸斗くん。明るく友だち思いのリュージくん。そして素直で努力家ななのちゃん。みんな魅力的で大好きです。
今までADHDについて殆ど名前しか知らなかったけれど、これを機に少しでも発達障害について理解し、また理解されればいいなと思います。
2017/08/20 18:09
ネタバレ
きみに会いにきた
2年越しに再会した、まるで王子様のようだった幼なじみは毒舌なプレイボーイになっていた。それでも昔のままに優しくてやっぱりかっこいい楓くんに、私も十羽ちゃんと一緒に数え切れないくらいキュンとさせられました。
『君しか見えない。』
このタイトルに込められた意味のうちの1つに関わる十羽ちゃんの秘密に触れたとき、切なさが込み上げてくると同時にそれまでの彼女に感じていた違和の正体に気づけて“そういうことだったのか”と納得しました。《大好きで、君しか見えない。》ともとれるこの題名がとてもお気に入りです。
十羽ちゃんと楓くんのように、互いに想い合って大切にできる関係ってすごく素敵だなあと思いました。私にもこんな幼なじみがいたら良かったのに…なんて、十羽ちゃんが羨ましいです。
約束のクリスマスイブは過ぎてしまったけれど、最後、本当の意味で再会できたふたりがずっと幸せに笑いあっていられますよう。
2017/05/18 17:21
ネタバレ
しあわせになろう、この場所で。
大切な家族を失い、本当の意味で〝幸せになる〟ことを諦めてしまった大人ふたりと、4歳の男の子の救いの物語。
大切なひとと支えあって、共に生きていくことってなんて素敵なんだろう。やっぱり家族っていいなあ。
そう思わずにはいられませんでした。
ツラくても他人を頼れない、不器用で一生懸命で頑張り屋な有希ちゃんを支える石月さんの分かりづらすぎる優しさと、祐一くんの無邪気な可愛さに、きっと骨抜きにされることでしょう。
終始、心温まるほのぼのとした雰囲気のこの作品ですが、石月さんの行動や言動になんど胸きゅんさせられたか数えきれません。
「自分の所為で」
今まではそうやって自分のことを責めて、責めて。その分、たくさん傷ついてきたけれど。これからはここで、みんなでしあわせな時間を紡いでいこう。
どうか、愛しい3人(と1匹)がずっと温かく幸せな毎日を送れますように。
2017/05/16 20:34
ネタバレ
夏空の下、白球を追う彼らのキセキ
太陽のように明るく元気な翠と、野球部エースを目指す補欠。ふたりのまっすぐな恋愛や、南高ナインや修司たちのかけがえのない青春がとても眩しい。
この物語に触れるたびに、どうしようもなく切なくて、苦しくて、愛しくて何度でも涙してしまいます。
──太陽が見てるから。
例えどんなに辛くて心も身体もボロボロになってしまっても、最後の一球まで投げ抜いた補欠はすごく頼もしい。決勝の場面では信じられないくらい号泣しました。
「補欠!」
と、教室の窓からグラウンドにいる響也に向かって叫ぶ翠が鮮明に思い浮かぶ。タチアオイが咲いて、選手権大会の開催される季節には、一番に補欠たちを思い出すのだろうと思います。
補欠の一球に『運命』を、『未来』を、そして『夏』をかけた彼らの長くて短いキセキは、私にとっても大切な物語になりました。この小説を読んで感じた沢山のことは、いつまでも大事に胸の内にしまっておきたいです。
2016/12/26 19:42
ネタバレ
夜明けはきみと一緒
マスク依存症の茜ちゃんと自由奔放だけれど実は大きな秘密を持った青磁くん。初めは背中合わせだけど、青磁くんの絵を通して近い存在になっていくふたりの物語にとても惹き込まれました。
「夜が明けたときに、綺麗な朝焼けを見ながら、会いたいと思った人が、その人にとって本当に大切な人なんだって」
茜ちゃんが作中作の文章を青磁くんに伝える、この台詞が題名と繋がったとき、心震えました。それと同時に、この19文字に青磁くんの想いがどれだけ詰まっているのだろうと思うと、この題名がとても愛しいです。
そしてなにより、読んだだけで伝わってくる青磁くんの絵の魅力。実際に彼の絵を間近で見たかのようでした。
お互いがお互いの世界を変えたふたり。やっぱり自分の意見をそのまま伝えるのは難しいことだけど、一歩前に踏み出せた彼らなら大丈夫。
読後、寝っ転がって移りゆく空の観察がしたくなる。とても綺麗で優しいお話でした。