わたしの人生はわたしが主人公 そう思っているのに、毎回恋は実らず 仕事でも平凡な営業マンでただの平社員 これといった突飛な能力もない… ヒロイン要素ゼロな私は、つい先日も 想い人に彼女が出来て呆気なく失恋 ｢わたしの人生ってただのモブ人生なの…！？｣ 行きつけのバーで相変わらず嘆きながら お酒を煽って泣きつく始末で。 ｢あら。わたしは可愛い女の子だと思ってるわよ｣ そんな口説くみたいな言葉をかけて慰めてくれるのは 行きつけのバーのマスター ちなみにオネェ口調 そんな彼(彼女？)に泣きつき愚痴をこぼしていれば ｢…あなたをヒロインにさせてあげられるわよ｣ なんて言われて ｢あらやだ。わたしがいつ恋愛対象が男って言ったかしら？…もちろん、あなたも恋愛対象よ｣ 顔のいい彼(彼女？)のじっとりした視線に 完全に囚われてしまった私は、 ｢、ヒロインに、してください……｣

「好きだよ」 いつから、こんないらない感情 抱いてしまったんだろう。 こんな、こんな感情がなければ、 私はあなたの側にいつまでもいられるのに。 いつまでも心の奥底で秘めていたいのに、 いつまでもあなたの隣で笑っていたいのに、 やっぱり、思いをとどめることは 不可能なんだね。 ――― この想い、あなたに伝えてもいいですか？ 『不器用で、臆病な一人の女の子の恋のお話』