雨宮れんさんのレビュー一覧
2010/08/06 16:17
重厚な世界にとことんひたる
戦後の復興期。 自衛隊は軍隊としてではなく、自衛のための部隊へと変貌を遂げようとしていた。 作家三島由紀夫は、その現状を憂い、自衛隊員たちの蜂起を願って、自ら腹を切る。 彼に心酔する森田必勝とともに。 この時代背景は、まったく知識がないのでたいそうなことは言えないのですが、綿密に資料をあたったであろう確かな筆致。 重厚に描かれた世界にとことんひたることができました。 今の若者とは、まったく違う当時の若者たち。 彼らの取った方法は、間違っていたのかもしれませんが、国を憂うその心には嘘はなかったと思います。 これもまた、一つの青春なのでしょう。 振り仮名を多用しているため、携帯では非常に読みにくいのですが、時間をかけてじっくりと読みたい作品です。
続きを見る