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- 『ラッキービーンズ』 麻井深雪/著 2012年9月25日発売
- 該当作なし
- 『いばら姫に真紅の薔薇を』 藤宮 茅/著
- 該当作なし
※この度、最終審査にて惜しくも大賞・優秀賞受賞とならなかった2作品につきまして、
スターツ出版特別賞を設け、賞金として15万円をお贈りすることとなりました。
公募ガイド 橋谷尚人編集長講評
- 『ソース』マヒル/著
- 全体に漂う雰囲気がよく、心地よく読み進めることが出来ました。雰囲気は狙って書けるものではないので、この作者の大きな魅力だと思います。ただし、欠点の多い作品であることも事実です。一人称の割に主人公のキャラが弱く、感情移入しにくい面もあります。キャラの描きこみがまだまだ足りません。もっとも応援したくなる作品という意味もこめて、1番に推しました。
- 『Devil's Night』浅海ユウ/著
- 時間が大きく前後するので、なかなかストーリーに集中できませんでした。何度も読み返さないと分からなくなります。小説の中で時間を前後させるのは、非常に難しい手法。マンガや映像作品のようにはいきません。子供を守りたい思う気持ちや行動などはしっかりと書かれているので、女性の共感を得られやすい作品だとは思います。
- 『乳房にメス』いいよ/著
- テーマを完全に消化しきれていない感じがします。作者本人が書きながら葛藤しているのが、そのまま作品に反映されているようです。描写はうまいと思いますが、間延びしすぎな部分も多い。もっとコンパクトにできるはず。心の葛藤だけでは、作品として仕上げるのはなかなか難しいと思います。事件やハプニングを起こして、どんどん話を転がしてほしかった。
- 『SEVENTH SUMMER』からさわなお/著
- ストーリーは本当によく考えられていると思います。ちょっと盛り込みすぎな感じもしますが、全体的には拍手を贈りたい。残念なのは、オリジナリティーの弱さ。世界観や設定に既視感を覚えてしまいます。面白いストーリーを紡ぎだそうという意欲は強く感じられました。無理に裏社会を舞台にするのではなく、趣味や仕事などで自分の最も詳しいジャンルを描いてみては。
- 『サクラドロップス』如月 蜜/著
- 主人公ユキが非常によく描けていると感じました。28歳の女性。こういう生活を送っている人、かなりいるだろうなと思わせます。共感度の高い作品です。ただ、ツバサの存在が不自然で、読んでいて違和感を感じます。ファンタジー的な要素を入れなくても充分通用する作品なので、書き直してより完成度を高めてほしい。安藤君はいいキャラですね。
スターツ出版 第2書籍編集 編集長 吉満明子講評
- 『ソース』マヒル/著
- 主人公が色を塗り重ねていくストーリーは映像が瞼の奥にちらつき、ラストを迎えた後に強烈な存在感がありました。キャラクターはそれぞれ描き分けられていましたが、欲を言えばソースさんの個性をもっと濃く打ち出すための演出があってもよかったと思います。まだまだ荒削りな印象なので、もう少し推敲を重ねてほしいです。
- 『Devil's Night』浅海ユウ/著
- あらがうことのできない輪廻転生が恐怖と悲しみをつれてくるという設定が面白く、物語に引き込まれる描写力も秀逸。ただ、あまりに哀しすぎるカイに個人的に魅力を感じられませんでした。とはいえ、何度も何度も出会ってしまうカイの存在感は、この話にかなり厚みを持たせていましたし、かつ「運命を受け入れる」女性性の描かれ方は見事だなと思いました。
- 『乳房にメス』いいよ/著
- 距離を感じる二人の関係性は、異性愛者同士のカップルにもありうるような、そこはかとない焦燥感・物悲しさが漂っていて、十分共感できました。しかし、ラストは読者にとってもう少しわかりやすくしたほうがいいでしょう。テクニックこそ感じますが、胸を打つ描写力には及ばず。作品に存在感を与える思いやメッセージを、意識してみてください。
- 『SEVENTH SUMMER』からさわなお/著
- 舞台となっている歓楽街の裏社会の描写は素晴らしく、とてもリアルでした。ただ、ページをめくらせる力こそ感じられるのですが、肝心の犯行の設定は詰めきれていないように思いました。コンテストの主旨を考えると、女性の共感を呼ぶような登場人物を盛り込んで、お話をもっとシンプルにしたほうがよかったと思います。
- 『サクラドロップス』如月 蜜/著
- 設定や台詞にあまり現実感が感じられない印象でした。ただ、途中から主人公の女性が垣間見せる本音にはかなり共感できたので、主人公のキャラクターと話の流れを少し整理することができればと感じています。描写力は料理のシーンだけ突然具体的になるなど、全体としてまだまだ力不足な印象があります。情景、心情共にもう少し丁寧に描いてほしいです。
撮影協力:パークホテル東京
撮影:依田佳子
「オトナ女子が本当に読みたい小説大賞」に応募していただいた作家の皆さん、おつかれさまでした。今回は告知から締め切りまでの期間が短かったのにも関わらず672もの作品の応募がありました。子ども向けのイメージの強いケータイ小説サイトを母体とする「Berry’s Cafe」にオトナ女子向けの作品がこれだけ集まったのは、ネット系の投稿小説に大きな期待が集まっているからではないかと思います。ネット小説は将来ますます注目され、活躍する作家が増えていくでしょう。
今回のコンテスト全体を通して感じたことは、応募作品のジャンルが予想以上に多彩に渡っていたこと。そして一定水準を超える作品も多かったことでした。編集部ではマーケティングを兼ねて「オトナ女子」とフラグを立てたコンテストにしましたが、改めて多様な価値観があることを痛感するとともに、新たな書籍化展開の手ごたえも感じています。
一方である程度のテクニックはありながらも、詰めが甘く選外にせざるを得ない作品も目立ちました。以下特に目立ったことを列挙させていただきます。
- ①設定をしっかりしましょう
- 例えばオフィスラブ小説であれば、業種、所在地、設立(新しい会社か、伝統のある会社か)、社員数、どんな人がどのように働いていて、どういう取引先があるのか…。このあたりは詳細に説明する必要はありませんが、ここをしっかり調べて設定してあれば物語を展開していく上でおかしなことは起こりにくいです。プロの作家は実際に取材をして固めていくことが多いですが、今はインターネットでも多くの情報が得られます。
登場人物もキャラ設定をしっかりしたいところです。作品によって突然人格が変わってしまうキャラクターも結構いました。 実話ではないので想像して書いていくのはあたり前ですが、読んだ人が違和感を覚えないようしっかりしたいところです。 - ②書き終わったあとに推敲をしましょう
- 執筆を終えると、すべてを出し切ってしまい、燃え尽きてしまう方も多いと思います。しかし読み直してみると、誤字脱字、言葉の誤用、同じ言葉が何回も続く、おかしな展開、隠していたはずなのに途中で結末が見えてしまった等いろいろあります。せっかく魂を込めて書いた作品がちょっとしたミスや、読み直せばわかることなのにしなかったがゆえ、大切な読者を放してしまうことは結構あります。物語の迫真の場面で誤字があると、急速に醒めてしまった経験がある読者は結構いると思います。
- ③時制の一致に気をつけましょう
- 意外と多かったのは、物語の半ばで、「ふたりが○○したのはこれが最後とは知るよしもなかった」などいきなり未来からの使者がやってくることです。そういう手法がないわけではありませんが、中途半端にやっても物語の先がわかってしまうだけで物語の魅力を大きく削いでしまいます。
- ④等身大の小説を書いてみませんか
- 小説を書くテクニックがあるのにこしたことはありませんが、それを使いこなせる力量がないと、方法論に引きずられた作品となってしまいます。そういう作品は本質が伝わらず、底の浅さが見えてしまうときがあります。それよりも今の自分をそのままぶつけた方が勢いがあり面白い作品になることも多々あります。
また自分の世代でない物語を書く場合は、これも本当は取材が必要です。調べ方はインタビュー、テレビ、雑誌、ネットいろいろありますが、時間がない、という方は自分の世代の物語を書くこともひとつの方法です。 - ⑤ストーリーの展開力を意識してみましょう
- 描写や説明に気をとられ過ぎて、物語が展開しなくなってしまう作品も見受けられました。言葉のリズム感、次々と新しいことが起きていくテンポ感を大切にしてほしいです(もちろん、じっくり読んでもらうことで意味のある作品もあります)。それからクライマックスシーンは最大限の緊張感が生まれるようにしてほしいです。また物語の伏線を張ったのはいいものの、それを解決しきれていないと読後に消化不良が起きます。特にミステリーであれば気をつけたいところです。
Berry’s Cafeでは今後も新たな才能を発掘すべく積極的に小説コンテストを行っていく所存です。引き続きよろしくお願いいたします。
ここ数年、ネット上に自分の小説を公開される方が増えてきています。ネット小説は、多くの読者の目に触れることで“本当に読者が求めている”小説に人気が集まる点が大きな特徴だと言えます。
スターツ出版はこれまで、主に中高生に向けてケータイ小説を出版してまいりましたが、小説サイト「Berry's Cafe」の開設をきっかけに、今後、大人の女性に向けても、書籍を刊行してまいります。
そこで、この「Berry's Cafe」に掲載される作品を対象とした、「オトナ女子が本当に読みたい小説大賞」を開催することといたしました。
第一次選考は、読者の投票によって作品が決定されます。
この新しい小説サイトで、多くの新しい作品が羽ばたいていくことを願って、皆様の作品のご応募とご投票を、心よりお待ちしています。
スターツ出版株式会社
株式会社公募ガイド社
※大賞・優秀賞作品はスターツ出版より単行本の出版(その他の作品も出版の可能性はあります)。
※ジャンル賞は惜しくも選外となった作品から小社書籍編集部にて選考し、決定します。
※該当作なしの場合もあります。
湊かなえ(作家)
橋谷尚人(公募ガイド編集長)
吉満明子(Berry's Cafe編集長)
※新しく決定次第、随時情報を掲載します。
※小説サイト「Berry's Cafe」で閲覧できる小説。
※まだ書籍化されていない、もしくは書籍化の予定がない、日本語で書かれたオリジナル作品に限ります。
※他の文学賞との二重応募は失格とします。
※既に他のサイトで発表されたものも応募可としますが、著作権および著作隣接権が完全にフリーであることを条件とします。
※応募作品は読者投票期間中に完結させてください。
「Berry's Cafe」の小説投稿ページ上で、200ページ以上
不問(プロ、アマ、年齢等一切問いません)
まずは、「Berry's Cafe」に会員登録(いずれも登録無料)をして頂き、案内に従ってご応募ください。⇒エントリーする
※ルールとマナーを守ってご応募ください。
※既に会員登録をされている方は、サイトの案内に従ってご応募ください。
応募者は「Berry's Cafe」に各自で連載を開始(完成作品の応募も可)。
読者が自由に投票を行い、2012年1月27日に読者投票通過作品として50作品選出します。
その後、小社書籍編集部にて審査の上、大賞候補作を発表(大賞候補3〜5作品を選出と発表)。
最後に審査員の最終審査により2012年4月下旬に大賞をはじめとした各賞を発表します。
- 10/25(火)
- Berry’s Cafeグランドオープン エントリー開始
- 11/25(金)
- 読者投票開始
- 2012/01/26(木)
- 読者投票〆切
- 2012/01/27(金)
- 1次審査通過50作品発表 スターツ出版内審査開始
- 3月上旬
- 最終審査作品決定
- 4月中旬
- 審査員による審査会
- 4月下旬
- 受賞作品発表
作家 湊かなえさん講評