クリスマス・イヴ。 聖なる夜が純白に染まる街の片隅で。 私は、最後の恋を、拾った。 【あなたを信じます 　　ぼくを拾ってください　　　ぽち】

ニューヨークに語学留学中の青年は自分が進むべき道を探しあぐねていた。 父親が敷いたレールの上を走らされていたからだ。 スキンケア会社の２代目社長となる道を。 そんな時、イタリア出身の老人に出会った。 ベーカリーの創業者だった。 彼とその家族に気に入られた青年は、パン作りに興味を覚えるようになる。 一方、フィレンツェの薬局で働く女性薬剤師は幼い頃から日本に憧れていた。 日本語をマスターし、日本に行く計画もあった。 しかし、東日本大震災の影響で訪れることができなくなった。 落ち込んだ彼女だったが、従姉妹の支えもあって元気を取り戻した。 従妹は親の跡を継いでベーカリーを営んでいた。 二人に接点はなかったが、老人の帰省に同行した青年に偶然という名の女神が微笑んだ。 フィレンツェの薬局で女性薬剤師に巡り会ったのだ。 その上、従姉妹の店でパン作りを手伝わせてもらうという幸運まで訪れた。 運命の赤い糸が結ばれ始めた。 ＊　　＊ 小さな画面でも読みやすいように再編集しました。