オメガバース風の世界観。 「僕はあの人が本当に好きだった人の代わりなんだ」 玖藍家当主の妾だった母は、女にもかかわらず男装を強いられていた。 例え相手がオメガでも同性愛は禁忌だと、アルファの父が諦めた運命の番の身代わりとして。 妾の子である私も、やがて腹違いの兄に囲われる。 奇しくも母と同じように、兄の最愛の人の身代わりとして。 愛されることを諦めていた私と兄の間に、アルファの息子が生まれる。 「アイツが前に言っていたよ。上位のアルファほど番への執着が激しくなるんだって。他の雑魚みたいに適当な相手で自分を誤魔化して生きることはできないから、運命の番を逃したアルファは一生不幸だってさ」 兄から運命の番について聞いた息子は 「俺は絶対にアイツと同じ轍は踏まない。どんな障害があっても全て排除して、必ずソイツの首を噛むんだ」 まだ小学生にもかかわらず、あまりにも傲慢で激しい気性。 本能的な恐怖を感じた私は、我が子を捨てて逃げ出した。 数年後。大人になったあの子と再会し、恐ろしい結末を辿るとも今はまだ知らずに。 傲慢なアルファが禁忌を犯して運命の番を手に入れるまでを描いた非道徳恋愛譚。