この世界には、現世と｢幽鬼の領域｣が触れあっている境界の場所や土地がある。それは冥界や魔界と恐れられる世界からこちらに開いている｢穴｣。だから、ときとして浸食を防ぐために、人間を送り込んで住まわせなければいけない。 そんな幽霊や魔物が徘徊し、死者がよみがえって幽霊やらゾンビになってうろつき回るような最悪の恐怖の場所が、彼らにとっては｢最後の希望｣だった。 たとえば難病で長く生きられない異母妹をつれて｢駆け落ち｣したうら若き青年。生と死が曖昧なこの場所ならば、たとえ現世で死ぬような状態でもかえって普通に生きていられるから。生きていようが死んでいようが愛情は変わらないから。 そこには自身が絶望や病にとりつかれて、死中に活を求める者たちもいる。この世の果てや究極を目指す研究家や探検家も。失われた人々とのコンタクトを望む者がいるし、世界を守る使命感に駆られた者もいる。それら｢生の意志｣の存在が防壁と盾になって、幽鬼の浸食を食い止める。

　 こんな思い初めてで… いけないと。 反対や罵声を浴びても… やっぱり好きなの。 壊れてく日々を見つめて… 何を思い、人は何に気づく？