- わたしは“闇の底に咲く華”と思っていた麗蝶はある日、強引なのに優しい男・紅藤に一目惚れをしてしまう。店の女たちが叶わぬ相手に恋をし、愚かに散っていくのを見てきた以上、安易にほれ込むのは避けたいと思っていたが、彼の権力は本物で、麗蝶の店での位もすぐにあがっていった。しかし、麗蝶には闇の底に封じ込めていた忘れてはならない過去があり、それを紅藤に打ち明けると共に残酷な運命が明らかになっていき…?
- 華やかに着飾った遊女の心の奥に深く沈む闇を、哀しい過去のエピソードと絡めて書き上げられていて、非日常的な世界であるものの思わず感情移入してぐいぐい引き込まれてしまいました!
- 紫乃は貧しい農家に生まれ、九歳で花街に売られやってきた。紫乃は天性の美貌を持つ女と言われており、指名も多く将来を期待されていた。遊女はただの道具として扱われ、誰一人として人間扱いをしないが、唯一彼女を人として扱い、むやみに自分に触れようとしない馴染み客の一之助に心惹かれていく…
- 興味本位で覗きたくなる世界ではありますが、そこに生きた女性たちの強さや苦しみが伝わってくる作品です。どんな立場であっても、想い人に焦がれる気持ちに共感します。
- 十六歳で遊女の最高位・花魁まで上り詰めた「夢美」、母に売られ心を閉ざしながらも煌びやかな世界に憧れる遊女見習いの「小梅」、深い恨みを抱えて復讐を誓いながら客を取る「蓮実」。夜の街に咲く妖艶な華々。彼女たちはいったいどんな運命を背負い、どこからやってきたのか。華やかに見える彼女たちの行く末は…
- 同じ遊女でも決してひと括りにはできない3人の境遇を掘り下げ、それぞれの目線で語られるアンソロジー。美しい闇の世界を疑似体験風に覗き見できます。